IT業界(SIer)から他業界への転職 -SIerから人材が流出する理由-
目次
概要
掲題のとおり、少し前にSIerから他業界へ転職を行った。
その時に感じたことについて、少し整理しておきたい。
具体的には、前職の会社をケーススタディに、なぜSIerから人材が流出するのか考えてみる。
※SIer全体からその傾向があるかは不明、あくまで自社のケースをみて
適当にいってみる。
1.退職者から本当の退職理由を聞きだせない理由
おそらく多くの会社の人事部や上長などは、退職者から「本当の」退職理由を聞くだすことができていないだろう。
なぜなら、退職者が「本当の」退職理由を、現職の会社側に伝える理由がないからである。
グーグルにて、「円満退職 転職」などのキーワードで検索すれば、退職時に「現職の職場環境や不満は、伝えないこと」が様々な記事に異口同音に記載されている。
また、転職エージェントからも職場ともめないためには、「職場の不満」や「制度への
だめだし」などは、しないほうがいいとアドバイスをする。
こうして、「今の職場には不満はないが、ほかにやりたいことがみつかったのでやめます」
が大量に出てくるのである。
2.SIerから人材が流出する理由
「退職していった上下の先輩」や、「同期の友人の話」、「自分の経験」を踏まえると、以下に集約されるような気がする。
ひとつずつ、説明していきたい。
2-1.人月単価という考えによる「人」の軽視
SIerは、システム構築の見積もりを行う際、
規模÷生産性=工数をだし、工数を人月で表現する。
上記のような数字をはじいているためか、見積もりを行うようなマネジメント層は、
「人手不足」がわかれば、工数に対し要因が足りないからという理由で、
社員の意向はかえりみることはせずに、急なプロジェクト移動を命じることなる。
「人」ではなく、帳簿の数字(人月単価)と向き合って人をアサインしていくやり方に
「自身のやりたいこと」をくまれず要員配置を繰り返されることにより、
不信感や将来への不安感は醸成されていく。
2-2.自分の望ように技術・実務スキルが身につきにく、つかいづらい
2-1でも述べたが、要員計画によってアサインされるプロジェクトが決定される。
どの工程から、どの期間でアサインされるかもなかなか直前にならないとわかりづらいため
技術・スキルの一貫性を保ちにくい。
たとえば、JavaをつかっていたプロジェクトでPG、次は、phpを使用したフレームワークを使ったプロジェクト、次は炎上プロジェクトの交通整理など。
また、基本設計以降に入ると、言語、フレームワーク、もしくはパッケージ使用有無などもきまっているため、たとえそれが自分が最適だと思わなくても適用していくしかない。
2-3.キャリア制度と実態の形骸化
これは自社のみことかもしれない。バブル崩壊以降の右肩上がりに経済成長をしていくことが前提であった終身雇用が崩れてきており、それに伴い、社内ではキャリアは会社から与えるものでなく、自身で設計、行動していくものという考えが強い。それを実現する制度もある。
しかし、制度は形骸化している。
理由は、2つ。
1つ目は、2-1、2-2で述べているようにSIerの要員のアサイン方法、働き方だと、「個人のやりたいこと<マネジメント層の要員計画」となる。
2つ目は、マネジメント層のポジショントーク的な考え。昔は、「個人のやりたいことをくんでプロジェクトにアサインなんてありえなかった」とか「キャリアパスなんて考えなかった」という自身のそれまでの経験を肯定する形で、新しいものを適応せず、現場では、制度はあるものの実施されていない