【整理】転職先としての「社内SE」の危うさ ーSIerから人材紹介業界に転職した経験から考えるー
■前提
タイトルにもあるように、
自分はSIer業界に数年間就業後、人材紹介業界に転職した。
担当の分野は、IT企業のキャリア採用を支援するという立場なので、
日常的にSEの方の履歴書を見ている。
年齢に対するどの程度の経験で、書類選考が受かるのか、内定まで出るのかなど。
■結論
結論からいうと、正直
「安易に社内SEを選択すると、その先のキャリアがない」
と感じている。
その理由については、後述する。
■社内SEの位置づけ
前職のSIerの友人と会話しても、また候補者の方と会話しても、以下のような発言をよく聞く。
・数年働いて、社内SEにでもなり、ベンダ管理でもしようかな。
・社内SEで残業を少なくして、ワークライフバランスを保ちたい。
・発注する側の方がストレスが少なそうだ。
・SIerにいると発注側や、一次二次請けに振り回されるのでもっと楽な仕事をしたい
SIerを経験した後のキャリアの選択肢として、
「社内SE」というは、正直、人気なのである。
実際に自分が担当してる企業の中でも、システム受託開発のエンジニア募集より、
「社内SE」のほうが人気がある。(応募は集まりやすいという事実)
※定性的な情報だけで申し訳ないが、、
■人材業界にいる人から感じる転職先としての「社内SE」の危うさ
上記のように感じるのには、いくつか理由がある。
①社内SEという選択は、就社である。(社内SE選択すると、次の転職先がみつからない)
少し乱暴な議論だが、20代後半で社内SEにキャリアを変え、30代後半40代でまた転職活動を始めると、
「驚くほど、書類が通らない」
というのが事実としてある。(20代後半で転職活動をした時より)
理由としては、
・社内SEの業務では、「技術やスキルがついた」とはあまり評価されないケースが多い。
・30代半ばになると、年齢に対するキャリアのバランスをシビアにみるため、書類が通らない
・社内SEの横滑りを試みるも、30半ばであれば、SIer上がりの20代後半の人が選ばれる。
上記の理由のため、社内SEを選択するとなかなかその先のキャリア形成することが難しく、
次の転職先を見つけることができないケースが多い。
②社内SEはコスト部門である
基本的には、社内SEは利益を生まないコスト部門である。
つまり、その企業が経営不振におちいった場合、真っ先に
コスト削減の対象となる恐れがある。
転職市場においても、上記のように現職企業が経営不振となり、
転職をはじめる人は、もちろんいる。
だが、①で記載しているように、次の転職先をみつけるのは、難しいのである。
■まとめ
冒頭でも記載しているが、
・数年働いて、社内SEにでもなり、ベンダ管理でもしようかな。
・社内SEで残業を少なくして、ワークライフバランスを保ちたい
・発注する側の方がストレスが少なそうだ。
のような発想のみで、社内SEに転職してしまうと危険かなと思ってしまう。
仮に応募できる求人が合ったとしても、「手を動かすことが求められる求人のみ」という印象。
たとえば、社内SEの中でも、「社内システムの内製化なので手を動かしていた人」は転職可能性はあるが、
資産管理やヘルプデスク用のような役割ばかりの人は、年齢に対するキャリアのバランスにて、転職が難しくなるケースが多い。
30代で家族がいる状態で、次の職が見つからない状況をみる候補者をみると、正直つらい。
より先を見据えて、現状から逃げ出すための「楽」にみえる環境への転職ではなく、
転職後の自分のキャリアの可能性を含めて、転職先を検討した方が良いのかなーと思います。