【読書ノート(9冊目)】リクルート ー挑戦する遺伝子ー
■概要
- 作者: 日本経済新聞社
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2015/02/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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リクルートについて、創業から現在までの歴史を概説した著書。
創業からリクルート事件、巨額の負債返済、東証一部株式上場まで
流れを知ることができる。
■気になったところ、おもしろかったところ
①リクルートの各事業に共通している理念と、ビジネスモデルがおもしろい
リクルートの理念としては
「人の人生の分岐点となる点で、
なるべく多くの選択肢から意思決定を行うことができる社会を実現する」
たとえば、「結婚式場を選ぶとき」、「転職会社を選ぶとき」、「旅行先を選ぶとき」、なるべく多くの選択肢から、ニーズを満たす選択を行えるような社会を実現するということである。
それを実現するのが、以下のリボン型モデルである。
リボン型モデル:ユーザとクライアントをリボンの端とし、
間にリクルートが間に入ることでマッチングするというビジネスモデル。
収益は、主にクライアントから成功報酬型で得る。じゃらん、ゼクシィ、人材サービスで共通するビジネスモデルである。
リボンの両端はなるべくひろげ、つまり「ユーザ」と「クライアント」をなるべく多く集めることでよりよいマッチングの可能性が高まるという考えである。
リボンの間にたつリクルートは、ユーザとクライアント双方からの課題・ニーズをヒアリングし、課題の解決やニーズを満たす方法を提案するというものである。
こうした抽象的な理念とビジネスモデルを理解すると、
リクルートのビジネスに一貫性があることが、わかってくる。
だが、同時に懸念もある。ユーザとクライアントを直に結びつける技術やサービスが誕生し、
間に「リクルートがマッチングする」という価値がなくなったとき、どうなるかである。
たとえば、「LINE」や「アイホンに音声での声掛け」だけで、質問に対する回答をAIが世界中の情報をかきあつめ、分析し、自分の特徴にあった答えを用意し、
回答してくれるとなった場合、リクルートが入る価値があるだろうか?
上記のような状況になった場合、ユーザはもはやサービスのジャンルや検索サイトを介さなくなるだろう。
②営業利益と売上高が偏りがあることが意外である。
以下のことを感じた。
・人材業界にて圧倒的に利益率の高い「JACリクルートメント」は人材紹介に特化し、かつ
ターゲットも年収が高い層となっているため、1案件当たりの利益がたかい。
2014年のデータを参考にすると28%の利益率を達成している。
・リクルートは、2015年のデータだと人材市場全体の売り上げの約45%を占めている。
業界全体では、2兆7000億の規模に対して、リクルートの売り上げが、1兆2500億となり
圧倒的。
・人材派遣紹介と人材紹介は、利益率に特徴がある。人材派遣は、利益率は低いが安定している。人材紹介は、利益率は高いが景気に左右される割合が強い。
■売上高
合計:
約1億2500億円
割合:
人材派遣が約6000億円
販促メディアが3000億円
人材メディアが3000億円
■営業利益
合計:
2100億円
利益率:
10%前後
上場企業の平均の営業利益率:約5%。
リクルートの平均営業利益率:10%
■営業利益内訳
合計:
約2100億円
割合:
人材派遣領域 :約350億
人材メディア領域:約700億
メディア領域 :約1000億