【読書ノート】採用学(10冊目)
■概要
- 作者: 服部泰宏
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/05/27
- メディア: 単行本
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企業経営を専門にしている著者が、採用を科学的に分析しようとしている書籍
日本の新卒の全体像とそれぞれの企業が、葛藤している問題点や
どこでミスマッチが起きているのかを把握できる書籍
■気になったこと、おもしろかったこと
1、採用戦略に共通解はない
当たり前のことだが、ついつい安易に求めてしまいがちな採用戦略の「共通解」について、改めてそんなのないよねと気づかれされた。
企業の規模、ブランド力、採用規模、採用予算、採用期間、求めている人材像、採用に動員できる要員が、各会社ごとに異なる。
そのため、各会社の採用担当は、自分たちの頭で最適な採用のフローを設計しなくてはならない。
2、候補集団群は、多ければ多ければよいというのは誤り。
現在の就職活動においては、企業がより多くのエントリーを集めるため、企業のポジティブな情報しか開示せず、より多くの応募者を集めようとしている。
企業側の思惑としては、「より多くの応募者を集めたほうが、候補者群の中でその企業に来てほしいと思われる「優秀な人」が、より多く存在すると考えているため」である。
※つまり、応募者数と優秀な候補者数は正規分布すると考えている。
だが、蔓延している上記の考え方は、以下の理由で考え直すべきだろう。
・応募者数の増加=優秀な人の増加を証明づける根拠がない
・たとえ優秀な人が増加しても、対象企業への志望度が低ければ最終的に辞退するため意味がない。
・多くのエントリー数を集めれば集めるほど、書類選考などの手続き的なコストがかかる
3、採用担当はなにで評価されるべきか(ゴールはどこか?)
本書の調査データにおいては、採用担当は、「3年後に企業に好成績で貢献している人材を採用すること」や、「早期退職者をださないこと」などが、評価項目だと認識しているという調査結果があった。
だが、実態として採用とその後の人材の実績を紐づけてデータ管理をしている企業は全体の5%以下だという。
個人的には、紐づけて管理を行い、早期退職者は採用時にどのような特徴があったか、逆に3年後めざましく活躍している人材は採用時にどのような特徴があったかをデータで蓄積・分析し、次の採用にいかすべきではないかと感じた。
上記を続けていけば採用の確度も高まるのではないだろうか。