【読書ノート】人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか (83冊目)
■概要
「すべてがFになる」等でも有名な作家「森博嗣」が書いた書籍。
人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか (新潮新書)
作家として、大学の教授として、よく人から相談を受けるという。
有象無象な質問を受ける中で、よくある首記のけんについて、考えている事をまとめている。
読み進める中で、かなりドライな方という印象を受ける一方で、共感できる部分も多かった。
また、抽象思考を可能にするためには、という文脈では、
「これをすればだれでも」のようなものは存在しない。
だが、以下は、一定の効果があるとのことだった。
・何気ない普通の事を疑う/変えてみる(もし〜だったらと想像してみる)
・腑に落ちるものがあったら、他のモノで同じ構造がないか考えてみる
・比喩や連想ゲームをする
・抽象的な作品に触れる、自分でも創作する
■おもしろかったこと、気になった事
①具体的なものに振り回されない事
・休日は家族を行楽に連れて行かなくてはならない
・子供の運動会では、親としてビデオをまわし続けなくてはいけない
など、世の中で良しとされているようなことを消費することに何の意味があるのかと、具体的なことをそのまま消費するような人々を強烈に皮肉を言っている。
抽象的には、「子供を大事に思っている」、「家族を大事に思っていること」が本質であり、それが自分で考えた行動なのか、世の中で良しとされている事を消費していないか、と皮肉を言っている。
②特にこだわらないことをこだわる
正義、責任、世間体、地位、名誉などにとらわれる事はストレスである。
お金を稼ぐ、会社で生きていくには一定の配慮は必要かもしれないが、
人が生きている理由にさして具体的なものはない。
なにかに夢中になるのも良いし、ならなくてもいい。
なにを極めるのも良いけど、極めなくてもいい。
死にものぐるいで活きても良いけど、いきなくても生きていける。
「人の生き方はそんなもの」という距離感、達観した考えが腑に落ちる。
③抽象思考ができることによる効用
簡単にまとめると以下だろう。
・「具体的なこと」や「特殊性」を捨象するため、「公平性」をもって物事を見る事ができる
・具体から抽象的な学びを得るため、応用が利く
・抽象思考から他分野への類推ができるため、突飛押しもないアイデアを創出できる可能性が高まる