新卒から文系エンジニア→人材業界に転職した人のブログ

新卒から文系エンジニア→人材業界に転職。技術・スキルがないためブログを通して勉強。その後、IT業界の業界知識が活かせる人材業界へ。異業種×異職種の転職経験有り。

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【読書ノート】アーキテクチャの生態系: 情報環境はいかに設計されてきたか(94冊目)

■概要

アーキテクチャの生態系: 情報環境はいかに設計されてきたか (ちくま文庫)


日本独特のWEBサービスである「mixi」、「2チャンネル」や「ニコニコ動画」について、社会学的な観点から分析をしている書籍。


日本人の特性やコミュニケーションの文脈を丁寧に観察/分析している。


たとえば、上記のサービスが、本来のコミュニケーションではなく、
繋がっていることを確認するという目的の「繋がりの社会性」という概念で説明できる事や儀礼的無関心を防ぎ、
関心がある事を認知させるという意味で、「革新的であったmixiの足跡機能」を説明する事など、新しい視点がとても面白い。


・メディアにおけるコミュニケーション設計をしている方

・デザイナーの方

社会学に興味がある方


などは一読の価値はあるとおもう。


■面白かった事、興味深かった事

①「アーキテクチャ」という発想

アーキテクチャという言葉を本書では以下のように定義している。

 ・物理的に任意の行動ができないように物事を設計する事。
  ※通常は、規範の内面かなどのプロセスが必要
 ・行為者は、無意識に任意の行動ができなくなる。


たとえば、以下のような例を挙げている。

・飲酒運転は重罪であると啓蒙するのではなく、アルコールを摂取しているとエンジンがかからないように設計する

・店の回転率をあげるために、BGMの音量を上げる、背もたれのない椅子を導入するなど。


アーキテクチャとは、上記の物理的に無意識に行為者の行動を制限する設計をする事であり、
日本において急速に普及したWEBサービスには、ユーザ利用を拡大するために巧みに取り込まれているという。


②作り込まれたアーキテクチャ ムラ社会と都市の共存を実現する2チャンネル


新参者がより多く流入しつつ、古株が新参者を排他しないように巧みに設計されている。
「匿名」という特性上、だれが古株なのかか判明できず、またスレッドの投稿数に限界があるため、新参者が入りやすい。


ユーザの誰かが新しいスレッドを立てなければ、話題としては埋もれていく。実に合理的に設計をされている。

日本人特有の「ムラ社会」を彷彿させるような内輪にしか分からないネタのくだりも生まれつつ、内輪感を全面に出させない絶妙な設計だという。


内輪ネタ、暗黙の慣習が濃くなればなるほどコミュニティは衰退しやすくなっていく。

都市のような匿名性を持ちつつ、ムラ社会の内輪感を醸成しているといえる。

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