【人材業界を考える】人材紹介業界について -リクルートが求職者情報DBを公開した理由-
ざーっと、人材紹介業界について整理してみる。
①人材紹介というサービスの必要性
■人材紹介の背景
人材紹介事業の規制緩和が1990年以降進み、1999年の職業安定法施行規則の改定された。
これにより、「手数料の規制緩和」や「紹介が可能となる職業の原則自由化」が決定された。
また、終身雇用と年功序列とセットで考えられていた新卒一括採用のみによる採用手法も見直される動きが、徐々に出てきている。
■企業の課題に対し、人材紹介を利用する契機
・新規・既存事業が不振の時
・新規・既存事業が好調・立ち上げの時
・計画外の人員減(休職、介護、転職、結婚退職など)
・計画された人員減(定年退職)
・なんらかの経営課題の解決策が、新しい人材の投入の場合
②人材紹介の特徴。
■市場規模
矢野経済研究所の調査では、2014年度の人材紹介業市場は前年度比118.6%の1,850億円、5年連続の拡大。現在は、2000億弱の市場規模。
■主要なプレーヤー(上位三社)
上位三社は、リクルートホールディングス、インテリジェンス、JACリクルーメントとなっている。
※ただし、人材紹介業界の市場規模は増えているが、大手三社の決定数は減っているそうだ。
■なぜ、大手三社の決定数は減っているのか?
大手三社の決定数が減っている理由としてあげられているのが、求職者情報を中小の人材紹介会社へ公開していったこと。具体的には、リクルートNEXTエージェントネットワーク(RAN)など。
※ちなみに私自身も転職時にリクナビNEXTに登録すると、リクルートエージェント以外の人材会社からもスカウトメールが大量にきた。
■なぜ、リクルートNEXTエージェントネットワーク(RAN)を公開しているのか?
競合の人材紹介ビジネスのコスト構造を変える戦略に対抗するため。ビズリーチのビジネスモデルの影響。
ビズリーチは、高年収層をターゲットに求職者情報を中小の人材紹介エージェントに公開するという事業を立ち上げた。
リクルートは対抗するために、リクルートNEXTの求人情報も同様に中小人材紹介エージェントに公開したといわれている。
※求職者情報を利用するエージェントは、求職者情報に対し、料金を払っている。
・ビズリーチの場合は、転職成功時の紹介料の30%(らしい)
・リクルートの場合は、求職者情報の利用料金
■高年収をターゲットとしたサービスは今後どうなるか?
より多くの報酬が人材紹介会社に入る高年収ゾーンのサービスは乱立している。
例)ビズリーチ、キャリアカバー(リクルート)、エン・ジャパン、マイナビ
差別化のポイントは、「紹介できる企業数、利用する人材紹介エージェント数、求職者数をどれだけ確保できるかの戦い」
だが、上記サービスの差別化は難しいか?
「企業側」
非公開求人であれば、成果報酬型のためすべてのサービスを利用するかも。
求人掲載の場合は料金が発生するため、より多くの直近で転職を行う可能性のある求職者が集まっているサービスに求人掲載を行うだろう。
「人材紹介エージェント」
求職者情報の利用料金だけでお金をとられるサービスは敬遠し、紹介成立時に料金が発生するサービスを利用するかも。
「求職者」
なるべく自分の分野でより多くの選択肢が(求人(非公開・掲載))があるサービスを選ぶはず。ただし、
・サイトの登録が面倒なところは敬遠する
・はじめに広告でみた転職サイトに登録する
・友人の紹介で登録
といったこともある。