【読書ノート】IT業界って具体的に何を指すのかという話
■概要
IT業界のシステム受託開発を行っているメーカ系の一つのSIerに就職すると、
IT業界全体のことが見えなくなってしまったので、少し俯瞰していわゆるIT業界について整理してみる。
参考資料;
- 作者: 東洋経済新報社,東経=
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/08/26
- メディア: 単行本
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- 作者: ITpro
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2015/12/09
- メディア: 単行本
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■日本全体の中でのIT業界の位置づけ
2013年の名目市場規模は、約940兆円。
そのうち、情報通信産業は82兆円(約8.7%を占める)
これは、建設業界(57兆円)や、輸送機械(50兆円)などを上回る。
加えて情報通信業界は、数少ない日本の成長産業となっている。
■「IT業界」といったときに含まれる企業のカテゴリー
ちゃんと整理すると、以下のようにこれだけある。
これだけあれば、よくある「どこに勤めている?」という会話で
「IT系」と言われても、ほとんど答えていないに等しいんだろうなと思う。
①システム受託開発
1、ITコンサルタント
主に上流工程を担当。
ちなみに、アクセンチュアは、ソフトウェア開発会社を取り込み、一括してシステム開発を行っている。
具体的には、アクセンチュア、アビームなど。
2、システムインテグレーター
顧客から、要件定義以降を一括して請け負う。
具体的には、メーカ系(富士通、NEC、日立製作所、東芝、IBM、日本ユニシス)、独立系(大塚商会、ITホールディングス、富士ソフト、JBCCホールディングス)、
商社系(CTC、SCSK)、ユーザ系(新日鉄住金ソリューションズ、セゾン情報システムズ、電通国際情報サービス)
総合研究所(野村総合研究所、大和総研ホールディングス、日本総合研究所)などがある。
②ネットビジネス業界
1、ECサイト
自社サイトに訪れるユーザを増やすことで利益の源泉になる。
1つ目は、EC(電子商取引)を行うことによって、利益を得ている企業。
具体的には、楽天・Amazon Japan・アスクルなど
2、ソーシャルメディア
2つ目は、ソーシャルメディア。個人が情報を発信したり、ユーザ同士が情報交換することによって価値が生まれるメディア。
利用するユーザが増えれば、広告費も上昇する。
具体手には、Facebook・サイバーエージェント・はてなぶろぐなど
3、情報ポータルサイト/検索サイト
3つ目は、情報ポータルサイト/検索サイト。日常で必要になる情報をユーザが獲得するときに利用するサイト。
具体手には、グーグル・yahoo!
4,ゲーム業界
ゲームを提供するプラットフォームサイトを運営することによって、ユーザを獲得するサイト
具体的には、GREE、DeNAなど。
③クラウドサービス業界
それまで社内に持っていたものをクラウド上で共有することによって、社内の管理コストや設備購入費を削減できるサービス。
Saas:インターネット経由でグル=プウェアの利用や財務会計などを提供する。
Paas:インタネット経由で仮想化されたアプリケーションやデータベースなどを実行できる環境を提供する。
具体的には、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、セールスフォースドットコムなど。
④通信キャリア/インターネットサービスプロバイダー
通信キャリアとは、固定回線・携帯電話回線などの通信設備を自前で保持している企業のこと。
企業向けには、社内ネットワークの構築やWAN(事業所間のネットワーク)構築などをしている。
具体的には、KDDI、NTT、ソフトバンク
⑥運用保守
構築した情報システムが安定して稼働するように運用・監視する。
ハードウエアを担当するのが、カスタマエンジニア。
ソフトウェアを担当するのが、保守エンジニア。
⑦ソフトウェアメーカー
OS、パッケージ業務ソフト、データベース管理ソフトなど。
具体的には、OSはマイクロソフト、レッドハット
業務パッケージとしては、SAP、ワークスアプリケーションズ、オラクル
DB管理ソフトとしては、オラクル、マイクロソフトなど。
【読書ノート】コンサルティングの極意:論理や分析を超える「10の力」(34冊目)
■概要
- 作者: 岸田雅裕
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2015/03/06
- メディア: 単行本
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淡々と述べられているが、いわゆるコンサルのマニュアル本にはない印象を受ける。
著者が、相当な修羅場を超えてきていること、かなりの教養を積んでいったことが感じられる書籍。
■面白かったこと、気になったこと
①クライアントを徹底的に調べる
同じ質問を投げても、関係性によって答えが違う。
はぐらかされたり、本音でいってもらえなかったり。
より深いリレーションを築くには、「相手を徹底的に調べる」
具体的には、過去の新聞、インタビュー記事、書籍、過去の発言、HP、SNSなど。
上記のように深いリレーションを築くために、やれることは徹底したい。
②先見性について
プロと言われるコンサルタントは
「次はどうなるか」「それはなぜか」「それが起きなかったらどうなるか」
を自問自答して仮説を持っている。
たしかにコンサルのイメージとして、ふられた質問をロジカルに即答しているイメージがある。
おそらくその場で考えているのではなく、事前にすでに自問自答し、洗練された考えを表現しているのでは
とおもう。
③コンサルは、情報の非対称性が基盤
企業とクライアントに保有する情報の非対称性が価値になるという意味では、
・コンサルタント
・不動産紹介
・人材紹介
・商社
などがあげられる。
共通点は、自社でものを持たず人が介在することで価値を提供していること。
本書では、インターネットの普及に伴ってこの情報の非対称が緩和されていくこと。
それに伴い、いままでのやり方以上のなにかをクライアントに提供する必要があると述べている。
【読書ノート】★社会人3年目まで必読★ 「考える技術・書く技術」ー問題解決力を伸ばすピラミッド原則ー(33冊目)
■概要
- 作者: バーバラミント,Barbara Minto,山崎康司
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1999/03/01
- メディア: 単行本
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コンサルタントの入門書といわれるバーバル・ミントの「考える技術・書く技術」ー問題解決力を伸ばすピラミッド原則ー
相手に納得感を与える考え方、伝え方を体系的に整理している書籍。
3年前に購入して読んで、また改めて再読。
■気になったこと、おもしろかったこと
①考え方・主張はピラミッド構造で整理する。
主張とそれを支える理由。
その理由を支える事実をグルーピングしながら、主張を作る。
人の認知の方法として、羅列した情報はグルーピングを行おうとする。
不規則に羅列した情報より、分類された情報・グルーピングされた情報の方が理解されやすい。
②帰納法で組み立てていくときのコツ
主張したいことなどを箇条書き書きがちだが、羅列すると理解しにくい。
大事なのは、箇条書きになったときに、順序化・抽象化をして、3つから5つに絞ること。
抽象化するときは、ポイントワンセンテンスで言い換えて、グルーピングをする。
順序化するときは、なぜその順序なのかを自問する。
【読書ノート】ポーター教授「競争の戦略」入門(32冊目)
■概要
- 作者: グローバルタスクフォース
- 出版社/メーカー: 総合法令出版
- 発売日: 2004/01
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 29回
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競争戦略についての名著マイケル・ポータの「競争の戦略」のエッセン版。
企業の戦略の話になると、かならずといっていいほど引用されるポーターの競争戦略。
原著も読むほど熱意と時間はないけど、概略をさらっとつかみたいひとにおすすめ。
■面白かったこと、気になったこと
①5フォースについて
競争とは、「各企業の収益率の低下をもたらす」
競争が少ない魅力的な業界を判断するために、5フォースを使う。
※本書では5フォースをさらに分割したツリー上の図で、5フォースを支える体系的な観点が整理されている。
1、新規参入の脅威
例)規模の経済性、差別化、参入障壁の有無、仕入れ先を変えるコストが高いか?、流通チャネルの確保が難しいか?
2、業界の競争
例)同規模同業の数が多いか、シェア競争が活発か?、買い手をかえるコストが無いか?、撤退障壁が大きいか
3、代替品の脅威
例)価格に対する性能が良くなる商品、高収益をあげている業界から生産される代替品
4、買い手の交渉力
例)買い手の購入品が買い手のコストの割合を大きく占めてるか?(高いと買い手がよく調べて交渉力アップ)、買い手が偏っているか?、差別化の有無、買い手の取引先をかえるコストがないか?、買い手が川上統合できるか?、買い手の商品への影響力、買い手が十分な情報をもつか
5、売り手の交渉力
例)売り手の業界が少数で、買い手の業界より集約されているか、代替品と戦う必要があるか?、売り手にとって買い手は重要な顧客か?、売り手の商品をかえるコストがあるか?、
【読書ノート】イノベーション・オブ・ライフ(31冊目)
■概要
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
- 作者: クレイトン・M・クリステンセン,ジェームズ・アルワース,カレン・ディロン,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 51回
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「イノベーションのジレンマ」といった名著を手がけている著者が、人生について語っている書籍。
人生において、どのようなことを心がければ、幸せな人生を送れるかを題材にしている。
■気になったこと、おもしろかったこと
①計画的なキャリアに固執しない
計画的なキャリアを建てることは重要だが、そこに固執する必要は無い。
計画的なキャリアを建てた上で、計画途中に出現する創発的なキャリアも大事にした方が良い。
一つ一つの経験から学びつつ、当初の戦略を修正していく。キャリアが歩むうちに、自分がどのような仕事なら好きになれるか
輝けるのかがわかってくる。そのうちに動機付け要因を最大限に高め、衛生要因を満たせる分野がきっと見つかるだろう
②金銭的な報酬で仕事を選ばない方が良い
ハーズバーグの動機付けに関する理論では、金銭的な報酬は、「衛生要因」に分類されるという。
「衛生要因」とは、不満足を発生させる要因のこと。いくら解消されても、それが「満足した状態」にはつながらない。
著者の友人の多くが、ボーナスや昇級といった金銭的な報酬を理由に仕事を選択し、不幸になったという。
※ちなみに、衛生要因に対し、内発的動機付け(達成感、他人からの承認・評価・責任)は、満足感を与える要因だとされている。
③友達・パートナー・恋人は、上手く行っている関係のときほど、大切にすること。
仕事が多忙なときにいつまでも身近にいる人との交流が、どんどん希薄になる。
特に息子に関しては、父親の都合が良くなってからともに時間を過ごし、関係性を築いていくことが難しいという。
いざ自分に取って周りの人が必要なときには、あなたの周りにはだれもいなくなる。
家族との関係、友人との関係の親密な関係に最も力を入れる必要があるのは一見その必要がないように思われるときなのだ。
【読書ノート】働く意義の見つけ方(30冊目)-仕事を「志事」に対する流儀-
■概要
- 作者: 小沼大地
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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青年海外協力隊からマッキンゼー、NPO法人設立といった異色のキャリアをもつ方の書籍。
最近、ワールドビジネスサテライトなどで紹介された「留職」サービズを提供しているNPO法人の代表者である。
一見、華麗に見えるキャリアの裏側には、数多くの「挫折」や「困難」、「苦悩」があった。
そして、それを「熱い想い」によって、どう乗り越えてきたか。「これから社会にどんなインパクトを与えていきたいか」ということがまとめられている。
■気になったこと、おもしろかったこと
①大きな組織で働くことにより、「働く」に対する熱がなくなる原因は、「社会とのつながり」が感じにくいため
青年海外協力隊から帰ってくると、同期で大企業に就職した友人の目に仕事に対する情熱が消えていたという。
その原因は、自分の仕事が「具体的にどのような人々の生活に役立っているのか」、という「社会とのつながり」が実感できていないから。
これには共感できる。自分自身も、実際にシステムを使用するユーザーと対面し、フィードバックをもらった仕事のほうが、モチベーションがあがった記憶がある。
ただ設計書通りにプログラムを作って検証し納品するという仕事よりも、システムを使用するユーザーとのコミュニケーションを通して、
なんのためにその仕事をしているのかという実感が効果的だった。
②途上国への支援からビジネスが始まる
留職を通して、途上国の生活に根ざした課題を解決することで、それが展開されていく場合がある。
NECの事例では、留職として派遣された場でインドにて、ドライバーの発注管理をタブレット端末で管理できるようなシステムを導入し、それがより多くの地域で導入を検討されているという。
ただ一つのプログラムで終わるのではなく、留職を行った企業という単位で、途上国でのビジネスチャンスが広がる可能性があるというのは意外であった。
③前例がない提案は、営業の難易度は高い。
本書を読んでいて切実に伝わってきた。どんなに営業相手が共感・協力してくれても、決済者を説得するには前例が要求される。
まず最初の実績を作ることが、なかなか難易度が高いようである。
結果として、筆者は「類似事例を提案資料に加える」という解決方法をとり、問題を解決していた。
【読書ノート】「創刊男」の仕事術(29冊目) -MBAでは教えてくれない-
■概要
- 作者: くらたまなぶ
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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新規事業の立ち上げのプロの書籍。
著者は、リクルートに在籍した20年間で立ち上がったサービス28個のうち、14個に携わった人物。
新規事業チームに新しく入った若手に
「マニュアルのようなものはないのか」と質問され、当時なかったことに気づかされたことをきっかけに書籍化したとのこと。
・市場調査とマーケティングの違い
・マーケティングとして人の気持ちを調査するときの方法
・ブレストの正しいやり方
・新規事業の立ち上げの流れ(ロマンを作る、そろばんをはじく、ジョーダンを言う)
・どうやって、人々の不をくみ上げるか
などに興味を持つ人は、一読の価値があるかもしれない。
■面白かったこと、興味深かったこと
①「生活者」として生活すること
サービス、商品には必ず、受け手と送り手がいる。普段の生活の中では、優れた受け手(生活者)であるべき。
受け手として、サービスや商品を調べて、選択して購入といった行動の中で、「自分の考えたこと」「感じたこと」を大事にすること。
例)
・自分はなんであの喫茶店よりこっちの喫茶店を好むのか。
・この値段は妥当か。
・なぜ、この商品は選ぶのが面倒なのか。
・なぜこの商品はちゃんと調べて購入し、この商品は一番売れているものを買うのか。
・もっとこうあったらいいのに、ここがいまいちだなど。
※裕福になると、「電車に乗らない」、「だれかに買い物をさせる」、「どっちがお得かまで考えずお金で解決する」など生活者から遠ざかり、「ユーザ感覚」が、鈍る。
「自分の行動や意思決定を言語化できること」は、一人の受け手(ユーザ)としての感覚を鋭くしておくことにつながる。
②マーケティングの方法について
マーケティングを行う際のヒアリングは、以下の順序で行う。
1、属性(プロフィールに関すること)について
2、体験について
・5W1Hで詳しく聞いていく。
例)「コーヒーは普段飲む」という答えに対しては、どこで?いつ?だれと?どのように?など
・単なる事実だから、相手も答えやすい
3、動機・背景について
・「なぜ?」で、動機・背景を問う。相手も考えていないこともあるため、じっくり聞く。
例)その銘柄を?なぜその時にいつも飲むの?
4、気持ち
相手が一連の行動をして、「どう思っているか」「どう感じているか」を聞き取る。それが「不」(もっとこうであったらいいのに、ここが不便、もったいないなど)
「事実を数字で把握すること」ではなく、受け手がどのように感じて、「なぜそれを選択しているか」を汲みとること。
「相手が気づいていないものを引き出していくことをしていた」というのが、本書を通して伝わってきた。
こうしたことは、AIは抽出できないし、アウトソーシングもしにくい、「価値のある仕事」なのだろう。
③新規事業の立ち上げ方
以下は、一番簡単な言葉で新規事業立ち上げの流れを表している。
※同じ意味のことを違う言葉でも、表現もできる。
1:ロマンを語る
「だれになにを届けるのか」、「それによってどのような不が解決されるのか」を明確にする。
●方法
・市場調査から仮説を立てる。
・仮説をもとにしながらヒアリング(知っている人(好きな人、嫌いな人、普通の人)、知らない人)を行う
・抽出された不を整理(図)する。
・俯瞰して、どのように不を解決するのかブレストする。
2:そろばんをはじく
1で練ったものが実際に採算がとれるのか、いつまでに採算をとるのかなどを数字で表現する。
3:じょーだんを言う
1,2を含めて、ユーモア・情熱を用いながら、協力者を説得する。
※ロマンだけでもダメ出し、数字だけでもダメ。また、市場調査・マーケティングを丸投げしても情熱が持てない。