【読書ノート】暇と退屈の倫理学 増補新版 (65冊目)
■概要
友人に勧められて読んだ本。
とても教養のある著者なんだろうなーと読んでいて思う。
それにしても、「暇」であるということや「時間」について、
すでに何人もの哲学者が真剣に議論していて自分と同じようなことを
考えていたんだなーと思うと、読書は楽しい(没頭できる)と思える。
■気に合ったこと、おもしろかったこと
①暇な時間を持ったのは、人類が定住化してから
人類が定住化したことにより、食料が蓄積できるようになり、貧富の差が発生するようになる。
富めるものは、人を働かせるようになる。
数か月単位で移動していたころは、不確実な環境の中で脳は常に警戒状態だった。
定住し、富を持ち、時間を持て余すと時間的にも脳のメモリ的にもあますことになり、
暇、退屈な時間が生まれたという。
②退屈は根深い
ハイデガーの例を出しながら、「暇」というのは非常に根深いという話が面白かった。
人に誘われ、パーティに出て人に合わせて会話をしてお酒を飲み楽しんでいるようにみえても、
家に帰って一息たつと退屈な時間だったと思ってしまう。
単純に時間の空白を持て余すことを退屈だとは定義できない。
③結論:暇な時間があるのなら、没頭できるなにかを見つけたほうが良い。
暇な時間にスマホゲームをやるのも、海外ドラマを見るのも、友人とお酒をしこたま飲むのも
本質的には変わらない気がした。
その瞬間に没頭して、時間を忘れることをしているんだなと。
ただそれが、ただの消費にならないように自分が本当に進んで好きでやっていることのほうがいいのではとも言っている。
広告に魅せられた供給に反応して、それが楽しいと勘違いして消費しにいく、というのは結局没頭できず、退屈の延長かもしれない。
- 作者: 國分功一郎
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2015/03/07
- メディア: 単行本
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