【読書ノート】選択の科学 -より選択肢が多ければ、選択されるわけではない-
久方ぶりに「面白い」・ワクワクするような書籍を読んだ。
- 作者: シーナ・アイエンガー,櫻井 祐子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/11/12
- メディア: 単行本
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■概要
人生における「選択」という意思決定において、様々な側面から
考察する1冊。
・消費者の購買行動上、より多くの商品から選んだほうが「購入」となる
可能性が高いのか?
・絵具、描く対象を「自ら選んだ場合」と「他人が選んだ場合」とどう違うのか?
・文化的背景は、アングロ系かアジア系か関係があるのか?
・恋愛結婚とお見合い結婚の満足度はどう違うのか?
などなど、興味深い実証実験を行われ、それに対する考察が展開されている。
■その他印象に残った・面白かった部分
①より選択肢が多ければ、「良い」というわけではない。
本書のジャムの実験では、限定された個数の中での選択のほうが,
消費者は選択を行い、購入する傾向がある。
人間の処理レベルを超える8個以上だと、選択を放棄してしまう傾向にある。
人は、選択対象が「区別があまりつかない対象物」、
「自分の専門的な知識がない領域の商品」の場合、
選択肢が多すぎる場合や、情報量が多すぎる場合は、選択を放棄しがち。
だから、信頼のおける人物が、同じようなニュース、品物、なにが差別化されているのか
わかりづらいものを選択してくれるキュレーションサイトやブログが
乱立するんだろうなと感じた。
②「きみはどうおもうか?どうしたいか?は、場合によっては無能な上司」と思われることもある
本書において、アングロ系で展開する工場にて、自主管理方式でチームを統一し、
メンバの自主性に任せた組織運営をさせていた。
しかし、それをアジアの国に持ち込み、上記のような問いかけをしたところ、
無能な上司がきてしまったと煙たがれたという。
国や文化を超える場合は、単純に成功体験をそのまま移行するというのは、
うまくいかないものなのかもしれないと感じつつ、非常におもしろい事例でもあった。