好きなことを仕事にするか否か -人を伸ばす力(72冊目)-
よくある議論。
ネット上や居酒屋で繰り広げられるキャリアに関する談義で必ずといっていいほどが話題になる
「好きなことを仕事にするか否か」
という議題について、少し書きたい。
※先日から、モチベーションに関する理論や内発的動機付けに関する書籍/情報を集める中で、気になった。
まず、基本的な心理学の動機付けに関する理論を紹介したい
心理学の考え方で、動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の二つがあるとされている。
外発的動機付けは行動の要因が評価・賞罰・強制などの人為的な刺激によるものであるという考え方に対し、
発的動機づけは行動要因が内面に湧き起こった興味・関心や意欲によるものであるという考え方である。
特に内発的動機付けとは、動機づけの要因は金銭や食べ物、名誉など、外から与えられる外的報酬に基づかないものを指す。
社会心理学者のデジによれば、内発的動機付けには有能感と自己決定感が強く影響するという。
つまり人は、仕事をする中で「能力を発揮できている」という感覚がある時、
また、「自分自身で目的を定め、計画を立て、実行している」という感覚があるときに、内発的動機を得やすいといえる。
■結論
結論から言うと、
「好きなことを仕事にしない方が良い」
※ただし、仕事に対する自由度(時間制約/計画の自由度)によっては、一概に外発的な動機付けが強まるといえないため、
条件付きではあるが、、
理由
行為そのものが目的である状態から、成果物の質に伴った金銭的報酬が目的となる。
そのため行動の動機付けが、「内発的な動機付け→外発的動機付け」に移行する。
この動機付けの移行が発生することにより、つまらなくなってしまう。
取り組み過程そのものではなく、金銭のためにやっているため「成果物が認める/認められない」といった成果物に対する評価が
行動の要因(外発的な動機付け)となる。
仮に「成果物が認められない場合/自身の期待値通りの報酬がない場合」、
あれほど夢中に取り組んでいた好きなコトが、つまらくなってしまい、嫌いになってしまう。
以下の書籍では、実証実験にて、金銭的な報酬を伴う動機付けが、内発的な動機付けを阻害することが、証明されている。
※書籍内では学生を集めて、用意されたパズルを解くという実証実験が紹介されている。
Aグループには、パズルを解いたときに金銭的な報酬を与える。
Bグループには、パズルを解いたときに金銭的な報酬を与えない。
パズルを解かせた後の待ち時間に、雑誌やテレビの放送がある中で、
自発的にもう一度パズルに取り組むかという形で実験を行い、Bグループの方がもう一度
夢中になってパズルに取り組む割合が大きい。
※心理学の理論では、創造的な活動/深い思慮がいる活動に対しては、内発的な動機付けを伴った行動のほうが
パフォーマンスは高く、継続性があるとされている。
また、一度金銭的な報酬を伴った動機付けから、金銭的な報酬が払われなくなると
当初の動機付けが内発的な動機付けだったとしても、その行為自体がつまらなくなってしまう。
ひとたび、趣味を仕事にすると、
趣味が好き(内発的な動機付け)→仕事にする(外発的な動機付け)→うまくいかず、趣味に戻るが、
金銭的な報酬を得ていた時期があるので、趣味自体がつまらなくなってしまう。
もちろん、上記がすべてあてはまるわけではないが、心理学の既存理論をあてはめると、
腑に落ちる部分も多い。
- 作者: エドワード・L.デシ,リチャードフラスト,桜井茂男
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