【読書ノート】予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (71冊目)
■概要
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
「経済学の定義では、人間は合理的な行動をとる」
ということは自明だが、合理的な行動とは思えないことがしばしばある。
行動経済学の観点から、それはどのような不合理(どのような条件/行動)なのかを整理した書籍。
前提条件によっては、ロジカルに考えるユーザ像だけではないことを改めて、再認識できる。
上記のような規則性や錯覚を利用して、ユーザとの接点を再考してみる、
※消費者としての自分の行動を再考してみるのは面白い。
■気になったこと、面白かったこと
以下、すべて実証実験を行いながら、証明されていった非合理な行動となる。
①商品の相対性
商品A,商品B,商品A+BでBとほぼ同じ値段だと、商品A+Bが最も売れる。
書籍にて参照されていた手法を日経新聞の電子版/紙でみかけた。電子版をほぼ無料でつけることにより、結果として紙と電子版の両方のコースで申し込んでしまう。
在庫処分とかプリンターのようにインクでビジネスモデルを確立しているビジネスで使えそう。
②恣意の一貫性とアンカリング
人は、商品の機能/価値とは関係なく、無意識/意識的に商品価格の標準値を設定しまう。最初に選択する商品には注意が必要。それが関連商品の選定基準に大きく影響する。
一番最初に住んだ家の家賃とかがそうかも。商品を販売する際、どの商品がユーザにとってもアンカリングになっているかは熟慮すべきかも。
例えば、音楽に対し無料であることがアンカリングされているユーザは、課金ユーザには最もなりづらいユーザ等。
③ゼロコストのコスト
価格が0であるときは、価格が1以上のときと全く異なるユーザの動きをする。社会科学では「出費の痛み」がなく、無関心な商品でも手に取ってしまう。
一方で、自分が苦労した経験を持って購入したものは過大に評価する。長時間並んだチケットなど。他ユーザからみて、共感を得ないプライシングを行ってしまう。
無料で購読させて、課金ユーザへの以降サービスが有効であるし、なんらかの苦労をさせ購入する商品を発生させる等。
(イベント限定のグッズや先着○名のみ)
④過去の印象が私たちの見方をどれだけ曇らせているか。
雰囲気が高級なら味も高級に感じる。同じ材料/料理でも、皿や食器、雰囲気が高級だと美味しく感じてしまう。
ビールについても、ビールの説明が卓越した説明の方が美味しく感じる。
過去の経験があり、人間の持つ「予測」が発動するが故に、上記の現象が起きる。
同じ音楽イベントを行うにも、場所の持つ雰囲気/上品さは重要。また、曲の説明も同様に重要。
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/08/23
- メディア: 文庫
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