【読書ノート】SIerの教科書(35冊目)
■おもしろかったこと、気になったこと
①ボトムアップの発想と現場のいいなり
・経営としてこの先はこうでありたいから、システムとしてはこんなシステムが欲しい
というのが、トップダウンの発想。
・今のシステムはここが不便だから、不便な箇所を直したシステムを作ってほしい。
・今のシステムでは実現できていない今の業務フローをシステム化してほしい。
というのがボトムアップの発想。
多くのSIerが、ボトムアップの発想でシステム受託開発を行っているのではないかというのが著者の指摘。
実際自分の経験を振り返ると、その通りだと思った。
大きな要因の一つとしては、改修案件であることが大きいとおもう。
どうしても現場からの不満をくみ上げて、システム改修として発注という流れが多かったようだ。
この今ある業務フローを忠実に再現するシステムを作ることが、ミッションになるといろいろ悲惨。
なぜトップダウンのアプローチができなのかは、ゆっくり考えたいとこ。
②SIerの歴史
意外とぼんやりでつかんでいたので、ついでに整理しておく。
1960年以前、システムは、コンピュータを製造するメーカーによって、作られていた。
◆1960年代
コンピュータを作っていたメーカの情報システム部門が親会社から独立して、電子計算センターが設立された。
複数の電子計算センターが作られ、給与計算や決算処理などの計算を行っていた。
◆1970年代
メインフレームという大規模なシステムが導入され始める。
大企業は、メインフレームを導入し、中小規模の会社はオフィスコンピュータといわれる事務処理用のコンピュターを導入した。
この頃のSierは、業務システムを独自に開発し、ハードウェア(メインフレームやオフィスコンピューター)を売っていた。
◆1995年以降
オープン化時代。
維持費用がかかる大規模なメインフレームから、
ダウンサイジングが行われ、windowsやlinuxを載せたサーバーを導入し、クラサバの流れになる。
※ダウンサイジングとは、従来の機能を維持したまま、小型化していくこと
各業務それぞれを最適化したシステムが乱立した。
◆2000年前半
ERPパッケージとは基幹業務全体を最適化するパッケージのこと。
具体的には、販売管理、給与管理、人事管理などどの企業でも必要な機能をパッケージにしたもの。
パッケージをそのまま納入するベンダーもいる一方で、パッケージからさらに個別にカスタマイズすることにより
莫大な費用が発生しているケースもある。
◆現在
クラウド化の流れを受けて、システム受託をする際にどこまでどのようにクラウド化するのか?
パブリッククラウドなのか、プライベートクラウドなのかなど知識まで求められている。