【読書ノート】10年後に食える仕事、食えない仕事(7冊目) -自分の仕事の位置づけを考える-
■概要
- 作者: 渡邉正裕
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/02/03
- メディア: 単行本
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タイトル通りに「10年後食える仕事と食えなくなる仕事」について
整理されている書籍。
場所性を超越し、情報共有ができるIT技術と
すべてを「1物1価」(同じ商品・サービスには同じ価格を)の流れに
巻き込んでいこうとする「グローバル化」の中で、今後の仕事のあり方をまとめている。
主として、主に以下の4つに仕事を分類し、それぞれのカテゴリーにどんな仕事がどんな理由で
分別されるのかを説明してくれる。
①無国籍ジャングル:言語と地域関係ない世界。ライバルは70億人
②重力の世界:より安く提供できるなら、より安いほうへ集約されていく仕事。
③ジャパンプレミアム:「日本人であること」が価値となり、仕事が有利に働く仕事
④グローカル:日本人であることかつ、高付加価値なスキルで勝負する仕事
■おもしろかったこと、気になったこと
1、「日本でやる必然性・日本人である必然性」がなければ、同じサービス・同じ商品をできるだけ安くするため、海外へアウトソーシング、または海外労働従事者が代替される可能性がある。
たとえば、SAPやMSのコールセンターがアジア諸国に移転されたこと。
英語がうまいフィリピン人が、本国より安価に対応できる。
また、中国の大連には、ベンダー系の資格(ORACLEやSAP)を持った日本語のうまい中国人もいる。
大連のサポートエンジニアの月収入は、5万5千円。
場所をかえるだけで、日本におくより4分の1以下になる。
中には、現地法人採用で日本人も働いているそうだ。自分のいる位置、身につくスキル、グローバル化とIT化の流れで安いほうに集約されていく中でなぜわざわざ日本人が時給370円ほどで働くのか?というのは、率直な疑問であった。
2、日本人である必然性とは、「信頼感」や「高い日本語の能力を求められるもの」、「日本人にしか理解できないようなきめ細かいサービス(おもてなし)」など。
たとえば、「信頼感」でいえば、高い商品の購入機会に携わる仕事(住宅販売、ディーラーなど)
自分に身を置き換えるとわかるが、やはり日本人のほうが何かあった時に信頼感がある。
「高い日本語の能力を求められるもの」といえば、弁護士や社労士、また上流のSEなど。
「日本人にしか理解できないようなきめ細かいサービス(おもてなし)」でいえば、日本の旅館のおかみなど。
逆に誰がやってもかわらないような単純作業・マニュアル化されている作業は、代替可能となり、
より安い労働者がまかなう可能性がある。コンビニの店員、プログラマー、テスター、決まりきった
計算事務処理など。
特に最近はアクセンチュアなどが間接部門をまるごとアウトソーシングすることで、
コスト削減を提案している。
3、無国籍ジャングルで戦うような汎用化されやすい(どこにいっても同じ)技術は、より安い人件費で作れる生産拠点に勝ち目がある。
上記は当たり前だが、昨近の半導体事業や薄型液晶テレビがこれを体現している。
薄型テレビは、韓国勢に惨敗し、パナソニックは2009年に国内工場の尼崎工場を閉鎖している。
日本の相対的に高い労働力で生産した半導体やテレビは、結局価格競争力に負け、
撤退していった。
逆にそれぞれの国によって、売れる商品に違いがあり汎用化されにくいものは
異なる結果をもたらす。
たとえば、「掃除機」。日本では床面積が狭く、土足でないことがから、軽量された
扱いやすい掃除機が売れる。しかし、土足文化の国では、吸引力が重視される。
上記のように国ごとに文化の違いが、商品のニーズの違いを生む場合もある。
その場合は、日本に住み日本人のニーズを汲み、商品開発をできる日本企業に
強みがある。