【読書ノート】欲望する言葉(74冊目)
■概要
欲望する「ことば」 「社会記号」とマーケティング (集英社新書)
本屋でさくっと読んだら面白そうだったので、購入。
下記の点について、社会学の既存の理論を用いながら記載しており、面白い書籍。
・加齢臭や女子力等の新しい言葉/概念がどのように誕生しているのか
・言葉の誕生の背景にどのような意味があるのか
■おもしろかったこと、気になったこと
①新しい言葉が生まれ、流行る意味について
新しい言葉が生まれ、流行る意味について、その理由の一つに
「考えるのが面倒である」という人間の特徴がある、というのは面白かった。
新しい言葉できることによって、うまく言語化できないけど、最近◯◯増えたよねという会話や本当はそれぞれの事象は
個別の特徴があるがそれを抽象化することで、共通の認識を作り、それ以上考えなくてもすむ状態を作り出す。
たとえば、複数人で女子で集まって話をする中味は実はそれぞれ違うかもしれないが、とりあえず女子会!
といういえばそれだけで共通の認識を作ることができる。
②新しい言葉や概念が生み出させるプロセス
実際の実例があった上で、話題になり、新たな概念/言葉を作り出す。
メーカー等が企業視点のみで、流行らせようとしても基本的に失敗する。
ユーザ自身もうまく言語化できていないが行っている行動や事象に対して、適切なワーディングを行うことで、流行る新しい言葉が生まれる。
例)女子会の例
女性が複数名で集まって居酒屋に行き、軟骨の唐揚げやサワーを頼んでいるデータがあったことから、
女性同士でも居酒屋に行くものであるという定義付け、カテゴリーを生み出すために女子会という新たな
言葉を作り出し、モンテローザグループと一緒に打ち出す。
欲望する「ことば」 「社会記号」とマーケティング (集英社新書)
- 作者: 嶋浩一郎,松井剛
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/12/15
- メディア: 新書
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【読書ノート】奈落の底からはい上がる ブランド再生ストーリー(73冊目)
■概要
最近の関心事、ブランド。
とりあえず、10冊程度は一気に積ん読する予定。
今回はその1冊目を読んだので、メモ。
ストーリーベースでわかりやすくという面はあるものの、
ちょっと退屈奈部分も多く、結構読み飛ばした。
■気になったこと、おもしろかったこと
①ブランドの立て直しには、ブランドコア、ブランドミッション、ブランドバリューが必要
他社でも追随できる枝葉の議論は、消耗戦。
立て直しには、まず「ブランドプラットフォーム」:ブランドを構成する基本的な考え方が必要
ブランドビジョン :ブランドを通して実現したい価値観/未来
ブランドミッション:ビジョンを実現するために必要な具体的な業務
ブランドバリュー :ブランドミッションを遂行するために、ブランドが提供する価値。普遍的に提供できる価値。
提供したい価値をまず考え、どんな価値観/世界観を提供したいかを策定。
その上で、ミッションに落とし込む。
上記を伴った上で、ターゲット(ペルソナ)を描く。
上記の軸が明確であれば、そこから多種多様な製品やサービスを生み出すことが可能。
上記の立て直しなしに、思いつきで以下のような打ち手は消耗戦、疲弊するだけ。
ダメな例)掃除用具メーカーで、低価格×高品質がウリ。他社も製品改良で左記の差別化が難しくなり、香り付き用品や持ち手を持ちやすく改良等の枝葉の他社でも追随できる改良を加える。
良い例 )上記を定めた上で、例えば掃除用具メーカーであれば、新しいライフスタイルを提案し、コンセプトを製品に落としながら、戦略を進める。
上は数十年単位で古くなるので、策定が必要。
例えば、アパレルなどは、なにもしなければ、おじいさん/おばあちゃんのときのブランドという位置づけになってしまう。
ロゴを見ただけで、なんとなくブランドバリューが見える商品はうまくブランディングされているんだなーと改めて実感。
例)ブルガリア、スタバ、ナイキ等
- 作者: フミ・ササダ
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2014/02/26
- メディア: 単行本
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好きなことを仕事にするか否か -人を伸ばす力(72冊目)-
よくある議論。
ネット上や居酒屋で繰り広げられるキャリアに関する談義で必ずといっていいほどが話題になる
「好きなことを仕事にするか否か」
という議題について、少し書きたい。
※先日から、モチベーションに関する理論や内発的動機付けに関する書籍/情報を集める中で、気になった。
まず、基本的な心理学の動機付けに関する理論を紹介したい
心理学の考え方で、動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の二つがあるとされている。
外発的動機付けは行動の要因が評価・賞罰・強制などの人為的な刺激によるものであるという考え方に対し、
発的動機づけは行動要因が内面に湧き起こった興味・関心や意欲によるものであるという考え方である。
特に内発的動機付けとは、動機づけの要因は金銭や食べ物、名誉など、外から与えられる外的報酬に基づかないものを指す。
社会心理学者のデジによれば、内発的動機付けには有能感と自己決定感が強く影響するという。
つまり人は、仕事をする中で「能力を発揮できている」という感覚がある時、
また、「自分自身で目的を定め、計画を立て、実行している」という感覚があるときに、内発的動機を得やすいといえる。
■結論
結論から言うと、
「好きなことを仕事にしない方が良い」
※ただし、仕事に対する自由度(時間制約/計画の自由度)によっては、一概に外発的な動機付けが強まるといえないため、
条件付きではあるが、、
理由
行為そのものが目的である状態から、成果物の質に伴った金銭的報酬が目的となる。
そのため行動の動機付けが、「内発的な動機付け→外発的動機付け」に移行する。
この動機付けの移行が発生することにより、つまらなくなってしまう。
取り組み過程そのものではなく、金銭のためにやっているため「成果物が認める/認められない」といった成果物に対する評価が
行動の要因(外発的な動機付け)となる。
仮に「成果物が認められない場合/自身の期待値通りの報酬がない場合」、
あれほど夢中に取り組んでいた好きなコトが、つまらくなってしまい、嫌いになってしまう。
以下の書籍では、実証実験にて、金銭的な報酬を伴う動機付けが、内発的な動機付けを阻害することが、証明されている。
※書籍内では学生を集めて、用意されたパズルを解くという実証実験が紹介されている。
Aグループには、パズルを解いたときに金銭的な報酬を与える。
Bグループには、パズルを解いたときに金銭的な報酬を与えない。
パズルを解かせた後の待ち時間に、雑誌やテレビの放送がある中で、
自発的にもう一度パズルに取り組むかという形で実験を行い、Bグループの方がもう一度
夢中になってパズルに取り組む割合が大きい。
※心理学の理論では、創造的な活動/深い思慮がいる活動に対しては、内発的な動機付けを伴った行動のほうが
パフォーマンスは高く、継続性があるとされている。
また、一度金銭的な報酬を伴った動機付けから、金銭的な報酬が払われなくなると
当初の動機付けが内発的な動機付けだったとしても、その行為自体がつまらなくなってしまう。
ひとたび、趣味を仕事にすると、
趣味が好き(内発的な動機付け)→仕事にする(外発的な動機付け)→うまくいかず、趣味に戻るが、
金銭的な報酬を得ていた時期があるので、趣味自体がつまらなくなってしまう。
もちろん、上記がすべてあてはまるわけではないが、心理学の既存理論をあてはめると、
腑に落ちる部分も多い。
- 作者: エドワード・L.デシ,リチャードフラスト,桜井茂男
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1999/06/10
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 77回
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【読書ノート】予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (71冊目)
■概要
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
「経済学の定義では、人間は合理的な行動をとる」
ということは自明だが、合理的な行動とは思えないことがしばしばある。
行動経済学の観点から、それはどのような不合理(どのような条件/行動)なのかを整理した書籍。
前提条件によっては、ロジカルに考えるユーザ像だけではないことを改めて、再認識できる。
上記のような規則性や錯覚を利用して、ユーザとの接点を再考してみる、
※消費者としての自分の行動を再考してみるのは面白い。
■気になったこと、面白かったこと
以下、すべて実証実験を行いながら、証明されていった非合理な行動となる。
①商品の相対性
商品A,商品B,商品A+BでBとほぼ同じ値段だと、商品A+Bが最も売れる。
書籍にて参照されていた手法を日経新聞の電子版/紙でみかけた。電子版をほぼ無料でつけることにより、結果として紙と電子版の両方のコースで申し込んでしまう。
在庫処分とかプリンターのようにインクでビジネスモデルを確立しているビジネスで使えそう。
②恣意の一貫性とアンカリング
人は、商品の機能/価値とは関係なく、無意識/意識的に商品価格の標準値を設定しまう。最初に選択する商品には注意が必要。それが関連商品の選定基準に大きく影響する。
一番最初に住んだ家の家賃とかがそうかも。商品を販売する際、どの商品がユーザにとってもアンカリングになっているかは熟慮すべきかも。
例えば、音楽に対し無料であることがアンカリングされているユーザは、課金ユーザには最もなりづらいユーザ等。
③ゼロコストのコスト
価格が0であるときは、価格が1以上のときと全く異なるユーザの動きをする。社会科学では「出費の痛み」がなく、無関心な商品でも手に取ってしまう。
一方で、自分が苦労した経験を持って購入したものは過大に評価する。長時間並んだチケットなど。他ユーザからみて、共感を得ないプライシングを行ってしまう。
無料で購読させて、課金ユーザへの以降サービスが有効であるし、なんらかの苦労をさせ購入する商品を発生させる等。
(イベント限定のグッズや先着○名のみ)
④過去の印象が私たちの見方をどれだけ曇らせているか。
雰囲気が高級なら味も高級に感じる。同じ材料/料理でも、皿や食器、雰囲気が高級だと美味しく感じてしまう。
ビールについても、ビールの説明が卓越した説明の方が美味しく感じる。
過去の経験があり、人間の持つ「予測」が発動するが故に、上記の現象が起きる。
同じ音楽イベントを行うにも、場所の持つ雰囲気/上品さは重要。また、曲の説明も同様に重要。
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/08/23
- メディア: 文庫
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【読書ノート】SEと人材業界経験したから、働き方改革について書いてみる プロの課題設定力(70冊目)
■ポイント
①働き方改革の現状/現実
2017年に入り、電通問題も相まって、弊社だけかもしれないが、「残業上限時間」や「月間労働時間」が明確に設定された。
ただ、労働時間の上限は明確にされたものの、業務量は変わっていない。
したがって、「労働時間は減ったが、業務量は減らず」という形になっているのが、現状である。
労働時間を減らしたのであれば、乱暴に言ってしまえば、
①業務量を減らす
②生産性をあげる(生産性が上がるので、業務時間が減っても、同等の業務量を遂行できる)
という2つの手段もうつべきであるが、なかなかそこまでできていないのが実態である。
したがって、実際には自宅での仕事時間が増加し、結果として職場以外での仕事に関する準備時間が増えている。
※もちろん、業務プロセスの改善や業務フローの一部をIT化/外部会社への委託、リモートワーク推進等の施策を実行しているが、
即効性はなく、上記の現実になっている。
②働き方改革の中で感じること
上記のような働き方改革によって、
「絶対的な労働時間は減るが、業務量は変わらない。ただ、左記の条件の中で成果は出す必要がある」
したがって、業務の中で、自分の実績につながる顧客の問題に対し、
「なにがレバレッジの効く問題なのかを策定し、それにむけた筋の良い行動を行っていくこと」が、より重要になってきたように感じる」
前に話題になった書籍もつまるところ、どうでも問題を解決しても意味がなく、
その問題が解決することによる影響の大きさや芯をつかんでいる問題かどうかという意味で、同じことを言っていたと思う。
これまで、労働時間が多分にあったため、若さや強引な行動力で、やったほうがいいことをひたすら行動するという形で働いてきた部分もあった。
SEであれば、これまで以上に工数を考えた上でやったほういいことはやらない覚悟が必要であると思うし、
※請け負い構造の中で業務コントロールができない場合もあるが、、
今の営業であれば、自分の業務範囲/量に対し、レバレッジの効く課題はなにか、かつそこに対する筋のよい解決手段を提案できるかが重要だと思う。
上記、当たり前のように思えるが、多忙な毎日を送るとどうしても、発生したタスクから処理したり、
自分のやりたい/やりやすい業務から取り組みがちだが、働き方改革が進めば進むほど、上記を的確に判断して、時間の使い方を気をつけたい。
- 作者: 清水久三子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/07/30
- メディア: 単行本
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【読書ノート】データの見えざる手(69冊目)
■気になったこと、面白かったこと
①人間の活動量をウェアラブルデバイスで計測し、組織の活動、社会現象について、科学的/統計学的に分析
腕にウェアラブルデバイスを装着し、ミリ行単位で、24時間の行動を記録を行うことで、データを大量に収集し、様々な角度から分析。
※本書の中で、年単位で、複数人のデータを計測することによって、詳細なデータを収集/分析している。
上記の定量データから、人間のモチベーションや、成果のできる組織、社会現象について、言及している。
通常の社会科学の書籍とアプローチが異なり、非常に面白かった。
②幸福度の左右する要因
下記は、同じDNAを持つ一卵性双生児が異なる家庭環境にて育った事例を集め、
分析したことによって判明した事実。
・幸福度の5割は、遺伝子で決まる。
・1割は、環境要因(仕事/私生活/友達等の状況の人間関係といった外部環境要因)
※多くの人が、この環境要因が最も大きく影響すると考え、改善しようとする人が多い。
・残り4割は、物事に対するスタンス/姿勢(自らの意思で積極的に行動を起こしたか)である。
「どのような実績を残したか、成功したか」よりも、積極的に自分の意志で行動を起こしたかに左右される。
③幸福度が高い社員は、活動量も多くなる。
ある企業での実験にて、「今週のよかったこと」を週10分間を使って、書き出すということを行った。
上記と中立的なことを書き出したグループを比較すると、
ポジティブなグループほど活動量が多く、パフォーマンスも上昇した。
④上司/部下/部下の結合度により、組織パフォーマンスは、上昇
コールセンターという個人業務/オペレーションとしての業務が多い職場にて、実験を実施。
休憩時間の会話が活発であったグループ/期間ほど、パフォーマンスが高かった。
また、上司と部下、部下と部下同士のコミュニケーションが密であると、組織のほうがパフォーマンスが上がる。
ただ、上記の関係性の中で、コミュニケーション種別が、相互的かつ「建設的」である場合のみ効果的。
「追従」や「懐疑」というコミュニケーションであると、効果は低い。上記を踏まえると、組織内の交流イベント、運動会などもそれなりに意義が合ったものかもしれない。
データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則
- 作者: 矢野和男
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2014/07/17
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【読書ノート】はじめての編集(68冊目)
■気になったこと、面白かったこと
①より大きな意味で「編集」という言葉を捉えること。
「編集」とは、
「企画を立て、人を集め、モノを作ること」
これをより広い意味で定義すると、
古くは「メソポタミアの壁画」もそうであるし、
清少納言は世界最古のブロガーであるし、
中世の協会は、Googleであったという。
上記のように大きな意味で「編集」を考えると、
SNSを運用して、人を集めて発信するのも編集にあたるし、
人材会社の社員として、求人を紹介するのも編集にあたる。
ただ、以前に比べて編集は、
公開範囲が限られた媒体(壁画や一部の権力者しか閲覧できない書籍)だったが、
インターネットの普及により、より多く人が編集を通して、多くの人に編集できる機会が
増えている。
②企画して、なにかを伝え、人を動かすという共通項
①ターゲットを決める
②ターゲットの指向性をつかみにいく
※予想ではなく、事実を採りにいく。インタビュー、実際のターゲットの生の情報をとりにいく。
③ターゲットに刺さるメッセージを策定する
④ターゲットにどのチャネルからどのように伝えるかを選定する(テキスト、イメージ、映像)
⑤メッセージを伝え、人を動かす。
とくに広告の場合は、テキストだけではなく、
映像、イメージ、ワーディングのセンス、どのチャネルから伝えるか等がより問われるというように感じる。
ただ、少しでも仕事の中に、
編集する(「企画を立て、人を集め、モノを作ること」)の要素がある場合は、
上記は共通しているのでは、と改めて感じた。
- 作者: 菅付雅信
- 出版社/メーカー: アルテスパブリッシング
- 発売日: 2012/01/12
- メディア: 単行本
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